【若者は本当に政治に「関心がない」?】
皆さん、こんにちは。
茅ヶ崎市議会議員の木山こうじです。

本日7月20日は、参議院選挙の投開票日です。
昨日まで駅前や大型商業施設の前では、マイク片手に熱のこもった演説をしていた候補者たちの姿も、今は見かけません。
喧騒のあとの静けさが、まるで日常の風景を取り戻したかのように感じられます。
皆さん、投票には行かれましたでしょうか?
どの党が議席を伸ばすのかも気になりますが、それ以上に気がかりなのは、今回の投票率です。
特に、若年層の投票率の低さは、選挙のたびに話題になります。
メディアでも「若者の政治離れ」「関心の低下」といった言葉が飛び交いますが——
本当に、若者は「政治に関心がない」のでしょうか?
私は、そうは思いません。
国際比較から見える、日本の若者の特徴
こども家庭庁が公表した令和5年度『我が国と諸外国のこども・若者の意識に関する調査』によると、
日本の13〜29歳で「政治に関心がある(非常に/どちらかといえば)」と答えた割合は46.2%。
これは5カ国中最も低い数字です。

しかし、前回(平成30年度)は43.5%だったため、わずかに改善傾向は見られます。
一方で、「関心がない(どちらかといえば/まったく)」は43.2%で、関心層が無関心層をやや上回ったことも注目すべき点です。
さらに注目すべきは、「わからない」と回答した割合が10.7%に達しており、
これは他国(アメリカ8.2%、ドイツ2.0%、フランス5.2%、スウェーデン3.1%)に比べて明らかに高い値です。

その他の設問に対しても、「わからない」と答える割合が突出しています。
つまり、日本の若者は「無関心」なのではなく、
関心はあるけど、「判断の自信がない」「関わり方がわからない」という不安や戸惑いを抱えているのではないでしょうか。
主権者教育に求められるもの
私は令和4年12月議会において、こうした背景を踏まえ、以下のように訴えました。
「主権者教育で大事なのは、正解を覚えることではなく、正解のないことに対して自分はどう思うかを明確にして意見を表明し、それを皆で議論して答えを導き出す力を育むことです。」
つまり、政治的リテラシーの育成とは、知識の詰め込みではなく、民主主義の担い手を育てることです。
「意見を持つこと」「対話すること」「判断し、選択すること」——
これらを、子どものうちから当たり前の文化にしていくことが必要です。
若者の政治参加を阻む「三つの壁」
島根大学・毎熊浩一教授は、若者の政治参加を妨げる要因として以下の3点を挙げています。
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社会との接点が少ない
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住民票と実際の居住地のズレによる手続き上の煩雑さ
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選挙に対する心理的ハードル
特に3つ目は深刻で、
「投票所がどんなところか分からないから不安」という声が、学生からも多く寄せられているといいます。
「最初の1回」の力と体験の重要性
投票行動に関する研究では、最初に投票した人はその後も投票に行きやすくなるという傾向が明らかになっています。
逆に、一度も投票に行ったことがない人は、そのまま政治から距離を置き続ける可能性が高いのです。
この「最初の一歩」をどう支援するか——
ここに、主権者教育の真価が問われています。
茅ヶ崎から全国へ広がる「こども選挙」
茅ヶ崎では、市民発信で始まった**「こども選挙」**という取り組みが話題となり、今や全国各地へと広がりを見せています。
子どもたちが候補者の政策を比較し、自分で選び、投票箱に一票を投じる——
まさに「主権者としての第一歩」を体験する素晴らしい機会です。
こうした取り組みを仕掛けていくのは、私たち大人の責任です。
子どもたちに「政治は身近で、自分の未来に関わっているものだ」と感じさせるきっかけを与えること。
それが、本当の意味での主権者教育であり、地域社会の成熟にもつながっていくと考えます。
親子投票というアプローチ
また、親が子どもを連れて投票所に行った場合、将来その子どもも投票に行く可能性が高まるという研究結果もあります。
私はこれまで、親子投票を後押しする取り組みとして、
「投票済証」を湘南らしいデザインのしおりにして子どもに渡すなどのアイデアを提案してきました。
その後、茅ヶ崎市も令和4年以降、親子での投票を啓発する取組を実施しはじめています。

若者は「関われる」と思えたときに動き出す
「誰に投票していいかわからない」
「間違った選択をしてしまいそうで怖い」——
そんな不安を抱える若者に対して、私たち大人ができることは、
「正解を教える」のではなく、「関わっていいんだよ」と背中を押すことです。
家庭で、学校で、地域で。
政治を“遠い世界”ではなく、「自分たちの暮らしをつくる話」として日常に根付かせる文化を育てていく。
それこそが、未来の有権者への最大の投資であり、
投票率を上げる一番の近道だと、私は信じています。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
木山こうじ
