【シェアサイクルステーション】
茅ヶ崎の皆様、こんにちは。
茅ヶ崎市議会議員の木山こうじです。
11月29日(金)の一般質問において、「シェアサイクルステーションの設置」について取り上げました。
茅ヶ崎市の現状と私の意見を少々述べさせていただきます。
茅ヶ崎市は美しい海岸線や豊かな自然に恵まれ、本市を含める太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルート※に指定されるなど、自転車観光の魅力があふれる街です。
※ナショナルサイクルルートとは?
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/national_cycle_route/
この指定は、国内外からの観光需要を高め、地域の活性化につながる重要なチャンスです。しかし、隣接する藤沢市と比較すると、茅ヶ崎市内のシェアサイクルステーションの設置数は限られており、その差が自転車を活用した観光促進や市内移動の利便性に影響を及ぼしています。
シェアサイクルステーションの増設は、観光客の移動手段を充実させるだけでなく、地域経済の活性化や環境負荷の低減など多面的なメリットをもたらします。一方、ステーション数が少ない現状では、観光客が自転車利用を断念するケースが増え、ナショナルサイクルルートとしての潜在能力を十分に活かせない懸念があります。こうした課題を踏まえ、本市がステーションの普及促進に取り組む意義は非常に大きいと考えます。
令和6年度から始まった「地域公共交通計画」の5カ年計画でも、ステーションの増設が謳われていますが、具体的な設置箇所数や目標は示されていません。ハローサイクリングのサイトでステーション数を確認したところ、11月29日現在、藤沢市は150箇所、鎌倉市は64箇所、平塚市は55箇所、茅ヶ崎市は34箇所と、自治体間で差があり、近隣市と比べても遅れをとっている状況です。
また、本市のシェアサイクル事業は観光振興課が所管しており、まちづくりや市民の交通政策といった視点での施策展開はされていません。
藤沢市では、シェアサイクルステーション設置を積極的に進めるとともに、利用方法やスマートフォンアプリの講習を含めた体験試乗会を江ノ島電鉄(株)と協働で開催するなどしています※2。藤沢市内のユーザーの傾向として、現状は辻堂駅や湘南台駅への通勤・通学が中心ですが、高齢者を含め、買い物や通院といった日常生活への活用を広げる取組などを行っています。その結果、藤沢市内でのシェアサイクル利用者数や利用回数は、3年間で約3倍に増加しています※1。
※1 タウンニュース藤沢版2023年11月24日公開
https://www.townnews.co.jp/0601/2023/11/24/708214.html
※2 同誌2023年4月7日公開
https://www.townnews.co.jp/0601/2023/04/07/673132.html
シェアサイクル事業については、観光視点だけでなく、市民の移動をどのように補完するかという視点のもと、庁内横断的な連携でステーションの空白地帯を戦略的に埋めていくことが重要と考えます。
福井県敦賀市で進めているプロジェクト「つるがシェアサイクル」では、自転車のGPS機能を活用し、サイクルポート以外で10分以上停車する行動を「滞留」と定義してデータを分析。これらの滞留場所でのニーズを考慮し、今後のサイクルポートの配置や回遊動線を検討しています。エビデンスに基づいた設置基準を設けることは非常に重要です。
※自転車利用環境向上会議in敦賀・若狭 分科会⑤公共交通としての自転車資料より引用
また、シェアサイクルの普及に際しては、既存公共交通にとってシェアサイクルが競合するものか、補完するものか、その立ち位置を整理する必要があります。
長野県上田市の上田電鉄は、別所線と上田市・千曲市広域シェアサイクルの利用促進を図るため、別所線の通勤定期券購入者を対象に、シェアサイクル月額基本料(1,650円/月)が無料になる社会実験を実施しました。
一般的に公共交通事業者は、自社以外の交通手段を「競合」と捉えがちですが、上田電鉄はシェアサイクルを「補完」するものと位置づけ、この事業を進めました。
また、上田市内ではシェアサイクルが公共交通(通勤手段)として認識されていなかったため、通勤費の対象外でしたが、既存公共交通と連携(相互利用)することで、公共交通として認識させることができるのではと考え、社会実験に踏み切ったそうです。
結果、定期券購入者もシェアサイクルの利用者も増加傾向にあるといいます。
上田市も藤沢市も、シェアサイクルの供給量が増え、利用環境が整うことで利便性が向上し、利用者が増加したと考えられます。
現在、本市では第2次ちがさき自転車プラン(H26.4~R7.3)の改定作業が進んでおりますが、第3次ちがさき自転車プラン(R7.4~)の中でシェアサイクルステーションを戦略的にどのように設置していくのかが明らかになると思います。
現状、計画もなく、とりあえず空いたところに設置していくといった方針でステーション設置を進めている本市ですが、市民の利便性、まちづくり、交通政策、観光振興など多面的かつ中長期目線での事業展開を引き続き提案してまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました、木山こうじでした。